「音楽業界に就職したいけど、倍率がすごいって聞くし、自分には無理なんじゃないか」
音楽が好きで、大学3年か4年になって本気で就活を考え始めた人ほど、この壁にぶつかります。ソニーミュージックの新卒採用は推定100倍を超えると言われ、ユニバーサルやエイベックスも「狭き門」という言葉ばかりが目に入る。
先に結論を書きます。「音楽業界=メジャーレーベル」と考えると難しい。でも音楽業界の入口は6種類あって、新卒が入りやすい会社ははっきり存在します。
私はイベント・コンサート業界で15年以上、ソニーミュージック・エイベックス・ユニバーサルなどレコード会社の担当者、芸能事務所のマネージャー、コンサート制作会社と一緒に仕事をしてきた営業職です。採用側で面接に関わった経験もあります。この記事では、市場の数字、各社の新卒採用の動き、新卒が入りやすい会社と職種、27卒・28卒がいま何をすべきかを、業界の側から見た本音で整理します。
注意:各社の採用日程・応募条件は2026年9月時点で公式ページから確認できたものです。変更されることがあるので、応募前に必ず公式の採用ページで最新情報を確認してください。
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結論:メジャーレーベルは難しい。でも音楽業界の入口は6つある

音楽業界への新卒就職が「難しい」と言われる理由は、ほとんどの人が3〜4社のメジャーレーベルしか見ていないからです。採用人数が少ない会社に応募が集中すれば、倍率は当然上がります。
音楽業界を構成する会社は、大きく6種類に分かれます。
| 会社の種類 | 主な仕事 | 新卒の入りやすさ(業界の肌感覚) |
|---|---|---|
| メジャーレーベル(レコード会社) | A&R・宣伝・営業・制作進行 | 低い。新卒採用はあるが少人数・高倍率 |
| インディーズ・中小レーベル | 制作から宣伝まで少人数で兼務 | 中。求人は不定期だが未経験可もある |
| コンサート制作会社・プロモーター | 公演の企画・制作・運営・チケット | 比較的高い。現場スタッフの需要が多い |
| 芸能事務所・音楽プロダクション | マネジメント・宣伝・ファンクラブ | 中。マネージャー職は離職も多く募集が出やすい |
| 音楽出版社・権利管理 | 著作権管理・タイアップ交渉 | 低い。採用規模が小さい |
| 配信プラットフォーム・チケット会社 | デジタル・データ・企画営業 | 中。ぴあなどは総合職で新卒採用を継続 |
「レコード会社に落ちたら音楽業界は無理」ではなく、「レコード会社以外の5つの入口をどう組み合わせるか」が新卒の戦い方です。この後、順番に見ていきます。
市場は伸びている。だから採用は「無い」のではなく「偏っている」

音楽業界の市場データを押さえておくと、「難しい」の中身が見えてきます。
- ライブ・エンタメ市場は2024年に7,605億円(前年比10.9%増)、2025年に8,564億円(同12.6%増)と2年連続で過去最高を更新。ぴあ総研は2035年に1兆円規模になると予測しています
- 2024年のコンサート動員数は約6,000万人で過去最多(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の発表)
- 国内の音楽配信売上は2024年に1,233億円(前年比106%、11年連続プラス)。そのうちストリーミングが1,132億円で配信全体の91.8%(日本レコード協会)
- 一方、CDなどの音楽ソフトと配信を合わせた売上は3,285億円で前年比2.6%減
つまり、伸びているのは「ライブ」と「ストリーミング」、縮んでいるのは「CD」です。採用が増えているのは現場(コンサート・イベント)とデジタル(配信・データ・SNS)で、レコード会社の従来型の枠は増えていない。就活で狙う場所も、この構造に合わせて決めるのが現実的です。
レコード会社の担当者と打ち合わせをしていると、ここ数年で「SNSでどう仕掛けるか」「配信のデータをどう読むか」という話が明らかに増えました。以前はCDの初動やテレビ露出の話が中心でしたが、今は「TikTokで先に動いている曲をどう拾うか」が最初に出ます。新卒に求められる素養も、その方向に寄っています。
大手レコード会社の新卒採用はどう動いているか(ソニー・ユニバーサル・エイベックス)

ソニーミュージックグループ:グループ22社の一括採用、エントリーは12月中旬〜1月中旬
ソニーミュージックグループの27卒新卒採用は、公式採用サイトによるとエントリー開始が2025年12月15日、締切が2026年1月14日(水)13時でした。募集はグループ22社の一括採用で、マイページから応募・選考状況を管理する形式です。
28卒の日程は2026年9月時点で公式には発表されていません。27卒と同じなら、大学3年の12月中旬から1月中旬にエントリー期間が集中します。「3月1日の広報解禁を待っていたら、ソニーは終わっていた」というのが、この会社でいちばん多い失敗です。
新卒の採用倍率は公式には公表されていません。就活情報サイトの試算では130〜158倍という数字も出ていますが、あくまで推計です。倍率の高さと選考の中身はソニーミュージックの就職難易度で詳しく書いています。
ユニバーサルミュージック:新卒・第二新卒採用と部門別インターン
ユニバーサルミュージック合同会社(米ユニバーサル ミュージック グループの日本法人)の公式採用ページには、2026年9月時点で「2027年新卒/第二新卒採用」の案内があり、インターンシップはレーベル・営業・デジタルの各部門で募集されています。エントリー時期・選考フローは採用ページ本体に記載がなく、募集ページで確認する必要があります。
同社の中途採用ページを見ると、レーベルのデジタルマーケティング・A&R・マーケティングプランナー、宣伝・営業のプロモーター、広告スペシャリスト、情報システムなどの職種が並んでいます。新卒でも「デジタル」「データ」に強い人材が求められていることが、中途の募集職種からも読み取れます。
エイベックス:公式の新卒採用サイトで確認
エイベックスの新卒採用は「志」新卒採用として専用サイトで案内されています。2026年9月時点で、対象卒年・エントリー時期は採用ポータルからは確認できなかったため、専用サイトで最新情報を確認してください。中途採用の観点からの難易度と攻略法はエイベックス転職は難しい?で整理しています。
大手3社に共通するのは、エントリー期間が短く、政府の就活日程より前に動くことです。各社の日程は28卒エンタメ業界の選考カレンダーで毎月更新しています。
新卒で入りやすい職種と、正直に言って難しい職種

入りやすい:コンサート制作・イベント運営の現場スタッフ
コンサート制作会社・プロモーターは、音楽業界の中でいちばん「人手が要る」会社です。公演が増えれば現場のスタッフが必要になるので、新卒でも制作進行・運営補助のポジションが開きます。
27卒の例で言えば、ディスクガレージが2026年8月7日に採用を開始し、9月17日締切で「コンサート・フェス運営・制作スタッフ」と「オフィススタッフ」を募集していました。大手レコード会社の本選考が終わった後に、こうした募集が出るのがこの業界の特徴です。
私が15年いた現場で、新卒で入ってきた子の多くは、レコード会社ではなくコンサート制作会社やライブハウスの運営会社が最初の職場でした。3年で現場の段取りを覚えて、その後にレーベルや事務所に移った子もいます。「最初からレコード会社」にこだわる学生より、「まず現場に入って業界の人脈を作る」学生の方が、5年後に本命に近い仕事をしている印象です。
コンサート業界の職種と仕事内容はコンサート業界の仕事内容と業界分析、正社員になる道筋はコンサートスタッフ正社員になるにはにまとめています。
入りやすい:チケット会社・配信・デジタル系の総合職
ぴあは2028年卒向けの新卒採用を総合職で行っており、配属先はチケット企画営業・Webサービス・イベント企画制作など全部門の可能性があります。2026年9月時点でインターンシップ第4回・第5回の応募を受け付けています。「音楽業界」という看板ではありませんが、ライブ・エンタメ市場の中核にいる会社です。
SNS運用・データ分析・Webマーケティングの経験がある学生は、レコード会社のデジタル部門や配信プラットフォームでも評価されやすい領域です。
中くらい:芸能事務所・音楽プロダクションのマネージャー職
マネージャー職は新卒でも募集が出やすい一方、離職も多い職種です。「音楽が好き」だけで入ると続かないので、仕事の中身を知ってから決めてください。現場の実態は芸能マネージャーを辞めたい人へで、辞めたくなる理由の側から書いています。
正直に難しい:メジャーレーベルのA&R
A&R(アーティストの発掘・育成・楽曲制作を担う職種)は、新卒でいきなり就く職種ではありません。大手では業界内の経験者が優遇され、新卒で入社した場合も宣伝・営業・アシスタントを経てから異動するのが一般的です。A&Rの仕事内容と現実的なルートはレコード会社A&Rの仕事内容となり方で書いています。
「自分の学年・専攻で、今紹介してもらえる音楽関連の会社があるか」は、エージェントの面談で聞くのが早いです。大手レーベルの本体は公式採用ページから直接応募し、エージェントは中堅・関連会社の入口と面接対策に使う、という併用が現実的です。
選考で見られていること:「好き」の先を語れるか

採用側で面接に関わった経験から言うと、音楽業界の新卒選考で落ちる人にはパターンがあります。
- 「音楽が好き」で止まる:業界の人は全員音楽が好きです。それは前提であって、差別化にはなりません
- 「このアーティストが好き」だけを語る:面接官が聞きたいのは、好きなものの周辺で自分が何をしたか(サークル運営・イベント集客・SNS運用など)です
- 「レコード会社に入りたい」で、職種が無い:宣伝なのか営業なのか制作進行なのか。職種まで落とした志望動機がないと、採用側は配属を想像できません
面接で「この子と働きたい」と思ったのは、「大学の音楽サークルで40人のライブを企画して、会場を借りて、チケットを売って、当日トラブルが出たがこう捌いた」と話せた学生でした。規模は小さくてもいい。「音楽で人を動かした経験」を、数字と段取りで語れるかが、音楽業界の面接で見られていることです。
志望動機の書き方はエンタメ業界の志望動機NG例と職種別例文、業界全体の向き不向きは音楽業界に向いている人の特徴で書いています。
27卒・28卒がいまやること

27卒(大学4年):秋採用と中堅企業を取りに行く
大手レーベルの本選考の山は過ぎていますが、秋採用・追加募集は動いています。ディスクガレージ(9月17日締切)、アミューズ(9月27日締切の秋採用)のように、公式で募集を出している会社があります。「大手に落ちたから終わり」ではなく、コンサート制作会社・事務所・関連会社に視野を広げてください。公式サイトに出ない募集は、エージェントの面談で「今紹介できる会社」を聞くのが早いです。
28卒(大学3年):冬までに3つ終わらせる
- 本命企業のマイページ登録:ソニーミュージックのように12月中旬にエントリーが始まる会社は、11月までに公式サイトのマイページを作っておく
- 秋冬インターン・オープンカンパニーへの応募:ぴあ、電通ライブ、ユニバーサル(部門別インターン)など、2026年秋に動いている募集に出す
- 「音楽で人を動かした経験」を1つ作る:サークルのライブ企画、SNSでの音楽アカウント運用、ライブハウスのアルバイトなど、面接で数字と段取りで語れるものを冬までに
月ごとの動きは28卒エンタメ業界の選考カレンダーで追ってください。
よくある質問

学歴で足切りされますか?
大手レコード会社の採用大学は有名大学が多い傾向がありますが、公式に学歴フィルターを明示している会社は確認できていません。コンサート制作会社・事務所・中小レーベルは、学歴より「現場で動けるか」「音楽で何をしたか」を見る傾向が強いです。
文系でもデジタル系の職種は狙えますか?
狙えます。SNS運用・簡単なデータ分析・Webの基礎は文系でも独学で身につく範囲で、レコード会社の宣伝やデジタル部門ではその経験が評価されます。プログラミングが必須なのはエンジニア職だけです。
音楽の専門学校を出ていないと不利ですか?
ビジネス職(宣伝・営業・制作進行・マネージャー)では不利になりません。専門学校が有利なのは音響・レコーディングなどの技術職です。
既卒・第二新卒でもレコード会社に入れますか?
ユニバーサルミュージックのように「新卒/第二新卒採用」を同じ枠で案内している会社があります。既卒・第二新卒の人は、新卒向けのエージェントではなく、音楽業界に未経験で転職するにはで書いた中途向けの動き方を参考にしてください。
まとめ:レコード会社1本ではなく、6つの入口を並べて選ぶ

- 音楽業界の入口はメジャーレーベル・中小レーベル・コンサート制作・事務所・音楽出版・配信/チケットの6種類。新卒が入りやすいのはコンサート制作とチケット・デジタル系
- 市場はライブとストリーミングが伸び、CDが縮小。採用も現場とデジタルに偏っている
- ソニーミュージックのエントリーは27卒で12月15日〜1月14日。大手は政府日程より早く動く
- 面接で見られるのは「好き」の先。音楽で人を動かした経験を数字と段取りで語る
- 27卒は秋採用と中堅企業へ、28卒は冬までにマイページ登録・インターン応募・経験づくり
「難しい」の正体は、入口を1つしか見ていないことです。6つの入口を並べて、自分の経験が活きる場所から入る。業界の中にいる人間として、それが音楽業界に新卒で入る最も確実な道だと思っています。
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