「レコード会社に入りたいけれど、どんな会社があるのか分からない」。就活を始めたばかりだと、まずそこで手が止まりますよね。
結論から言うと、レコード会社の一覧は、社名を暗記するより「どのグループに属する会社か」で分けて見るほうが、企業研究が進みます。同じレコード会社でも、外資系の日本法人、国内の独立系、電機やゲームなどのグループに属する会社で、得意な音楽や会社の動き方が違うからです。
この記事では、新卒でレコード会社を目指す学生向けに、次の3つをまとめました。
- 主要なレコード会社を、グループ別に整理した一覧
- 一覧に載っていない会社を、自分で見つける方法
- 応募先を選ぶときに、各社の公式ページで確かめたい点
先にお断りしておきます。ここに載せたのは実在する会社の一部で、社名は2026年10月時点のものです。すべての会社を網羅したものではありません。並び順も、売上や人気の順位ではありません。採用の有無や時期は年度で変わるため、応募するときは各社の公式の最新要項を読んでください。
この記事の要点は3つです。一覧は「グループ別」に見ること。社名だけでなく、好きなアーティストの所属レーベルから会社をたどること。そして、新卒は総合職で入ってから配属が決まる会社もあるので、職種の幅まで調べておくことです。
そもそもレコード会社とは?事務所や配信代行との違い
一覧を見る前に、レコード会社がどんな会社なのかを押さえておきましょう。ここがあいまいだと、志望動機で「音楽に関わりたい」以上のことが言えなくなります。
レコード会社は、アーティストの楽曲を録音した音源を作り、CDや配信で世に出して売る会社です。新人の発掘や育成、宣伝、販売の計画もレコード会社が担います。ほかの音楽系の会社とは、次のように役割が分かれています。
| 会社の種類 | 主な役割 |
|---|---|
| レコード会社 | 音源の制作、CD・配信での発売、宣伝、販売 |
| 芸能事務所(マネジメント) | アーティストの活動全体の管理、スケジュール、出演の調整 |
| 音楽出版社 | 作詞・作曲の権利(著作権)の管理と、曲の利用を広げる仕事 |
| 配信代行(ディストリビューター) | 音源を各配信サービスに届ける仕組みの提供 |
表は一般的な分け方です。実際には、レコード会社のグループ内にマネジメントや音楽出版の会社があることもあります。
「レーベル」と「レコード会社」は同じ?
ほぼ同じ意味で使われますが、厳密には違います。レーベルは、作品を出すときのブランド名のようなものです。1つのレコード会社が、ジャンルや方針ごとに複数のレーベルを持っている形がよくあります。
たとえば、アニメ関連の音楽で知られる「ランティス」は、レーベル名として今も使われています。ただ、会社としてはバンダイナムコミュージックライブの事業の一つになっています(バンダイナムコミュージックライブ「商号変更のお知らせ」、2022年)。好きなレーベル名で検索しても採用ページが出てこないときは、運営している会社名を調べてみてください。
「メジャー」と呼ばれる会社の目安
就活の場でよく聞く「メジャーレーベル」には、法律で決まった定義はありません。就活向けの記事などでは、一般社団法人日本レコード協会の正会員を目安として説明しているものも見かけます。ただ、協会の会員区分(正会員・準会員・賛助会員)は「メジャー」を決める分類ではなく、これは呼び方の目安です。正会員かどうかで、会社の良し悪しや新卒採用の形が決まるわけではありません。
ただし、正会員の顔ぶれと社数は年によって変わります。検索で見た記事に書かれていた社数も、記事が書かれた時点のものでした。そのため、この記事では社数を書いていません。最新の会員は、日本レコード協会の公式サイトの会員ページで確かめるのが確実です。
主要なレコード会社の一覧(グループ別)
ここからが一覧です。区分は私が企業研究のために分けたもので、公式の分類ではありません。グループ名・レーベル名・実際に採用する会社が別のこともあるので、採用の形は区分ではなく、各社の年度ごとの要項で確かめてください。
| 区分 | 主な会社 |
|---|---|
| ソニーグループの音楽会社 | ソニー・ミュージックエンタテインメント(ソニーミュージックグループ) |
| 外資系グループの日本法人 | ユニバーサル ミュージック、ワーナーミュージック・ジャパン |
| 国内の独立系 | エイベックス |
| ほかの事業グループに属する会社 | ビクターエンタテインメント(JVCケンウッドグループ)、バンダイナムコミュージックライブ(バンダイナムコグループ) |
| 長い歴史を持つ国内のレコード会社 | ポニーキャニオン、キングレコード、日本コロムビア、テイチクエンタテインメント、徳間ジャパンコミュニケーションズ |
ソニーミュージックグループ
ソニー・ミュージックエンタテインメントを中心に、音楽だけでなくアニメやキャラクター、ライブなど幅広い事業を持つグループです(ソニーミュージックグループ公式サイト「事業紹介」、2026年)。なお、日本レコード協会の会員名簿で正会員として載っているのは、グループの中の株式会社ソニー・ミュージックレーベルズです(2026年10月18日時点)。グループ名と、名簿や採用ページに出てくる会社名が違うことがある、という例です。
グループの中には複数の会社があります。採用がグループ単位か会社単位か、入社後にどんな部署へ配属されうるのかは、年度ごとの要項で確かめましょう。採用の流れを詳しく知りたい人は、ソニーミュージックの採用についてまとめた記事も参考になります。
ユニバーサル ミュージックとワーナーミュージック・ジャパン
どちらも、海外に本拠を置く音楽グループの日本法人です。正式な社名は、ユニバーサル ミュージック合同会社と株式会社ワーナーミュージック・ジャパンです(各社公式サイトの会社概要、2026年)。
外資系の場合、日本のアーティストを売り出す仕事と、海外アーティストの作品を日本で広める仕事の両方があります。洋楽が好きな人にとっては、検討しておきたい候補になるはずです。語学力が選考でどう見られるかは、会社と職種で違うので、要項と説明会で確認してください。
エイベックス
国内の独立系のレコード会社として、名前を知っている人も多いでしょう。音楽事業(ライブ・コンサートの制作を含む)と、アニメ・映像事業を柱にしています(エイベックス株式会社「事業紹介」、2026年)。日本レコード協会の正会員名簿に載っているのはエイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社で、新卒採用はエイベックスがグループ一括採用として行っています(2027年4月入社向けの新卒採用サイト、2026年10月18日時点で確認)。
検索で見た24年卒の体験記では、エントリーシート、テスト、複数回の面接という流れが書かれていました。ただし、これは個人の体験談です。年度によって選考の形は変わります。会社の歩みや働く環境を知りたい人は、エイベックスについてまとめた記事も読んでみてください。転職者向けの記事ですが、会社の特徴をつかむ材料になります。
ほかの事業グループに属する会社
ビクターエンタテインメントは、JVCケンウッドグループの会社です。2014年に「株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント」へ社名を変えましたが、2024年4月1日付で元の「ビクターエンタテインメント株式会社」に戻しています(JVCケンウッド プレスリリース、2024年)。
バンダイナムコミュージックライブは、名前のとおりバンダイナムコグループの会社です。アニメやゲームと音楽のつながりが強い会社を探している人は、こうしたグループ会社も一覧に入れておくと、選択肢が広がります。
長い歴史を持つ国内のレコード会社
ポニーキャニオン、キングレコード、日本コロムビア、テイチクエンタテインメント、徳間ジャパンコミュニケーションズといった会社です。演歌や歌謡曲、アニメ、映像作品など、会社ごとに力を入れている分野が違います。
ここは社名だけで判断せず、各社の公式サイトで「最近どんな作品を出しているか」を見てください。自分が普段聴く音楽と、会社が力を入れる分野が重なっているかどうか。それが志望動機の出発点になります。
一覧にない会社を自分で見つける3つの方法
上の一覧は入り口にすぎません。レコード会社やレーベルは、インディーズまで含めると、ここに書ききれないほどあります。自分で候補を広げる方法は、次の3つです。
- 好きなアーティストの所属をたどる:CDの帯や配信サービスのクレジットに、レーベル名と発売元の会社名が書かれています。普段聴いている10曲を調べるだけでも、知らなかった会社が見つかります。
- 日本レコード協会の会員ページを見る:正会員のほかに準会員、賛助会員という区分もあります。たとえばトイズファクトリーは、2026年10月時点で準会員として載っています(日本レコード協会「会員社」、2026年)。メジャーかどうかにこだわらず、会社を探す名簿として使えます。
- 就活サイトの業界検索を使う:「音楽」「レコード」などの業界で絞ると、新卒の募集を出している会社がまとまって出てきます。ただ、掲載がない年もあるので、気になる会社は公式の採用ページも見ておきましょう。
私はイベント・コンサートの仕事を15年以上続けてきて、大手レコード会社の担当者と打ち合わせをしたりしていました。イベントの企画やタイアップ、PRの商談が中心で、雑談で採用の話を聞くこともありました。振り返って思うのは、社名から受けるイメージだけでは、その会社でどんな仕事をするのかまでは分からないということです。だからこそ、一覧の社名をなぞるだけで終わらせず、作品と採用ページの両方を見てほしいんです。
応募先を選ぶ前に確かめたい5つの点
候補の会社が見えてきたら、公式の採用ページから次の5つをメモしてみてください。
- 採用の形:総合職でまとめて採るのか、職種別に採るのか
- 配属の決まり方:制作(A&R)、宣伝、営業、管理部門などのどこに、どう配属されるのか
- 募集の対象:卒業年度、学校種、既卒の扱い
- 募集する会社:グループ一括の採用か、各社ごとの採用か
- 選考の段階:インターン、説明会、本選考のどれが受付中なのか
検索で見た就活口コミサイトの体験記では、大手レコード会社の新卒採用は総合職での選考が多く見られました。「A&Rになりたい」と思って入っても、最初の配属が営業や管理部門になる可能性は考えておきましょう。A&Rは、アーティストの発掘や作品づくりを担当する職種のことです。仕事の中身は、A&Rの仕事をまとめた記事で詳しく扱っています。
注意:口コミサイトの体験記は、個人が書いた過去の情報です。選考の段階や時期は年度で変わるため、最後は公式の要項で確かめてください。
音楽業界の新卒就活がどのくらい狭き門なのか、全体像を知りたい人は音楽業界の新卒就活の難しさをまとめた記事も読んでみてください。自分が音楽業界に向いているか迷っている人には、音楽業界に向いている人の特徴をまとめた記事が参考になります。
よくある質問
レコード会社は全部で何社ありますか?
決まった数は言えません。インディーズのレーベルまで含めると、数え方によって大きく変わるからです。日本レコード協会の会員数は公式サイトで確かめられますが、会員になっていない会社もあります。
大手以外のレコード会社も受けたほうがいいですか?
受ける価値はあります。会社によっては、1人が担当する仕事の幅が広いこともあります。ただし、新卒の募集がない年もあります。気になる会社は、採用ページを定期的に見ておくと安心です。
音楽の知識がないと不利ですか?
知識の量そのものより、「なぜこの会社なのか」を自分の言葉で話せるかが問われます。その会社が出している作品を聴き込み、どこに惹かれたのかを説明できるように準備しておきましょう。
レコード会社と芸能事務所、どちらを受けるべきですか?
アーティストとどう関わりたいかで決めるのが一つの目安です。作品を形にして世に広める仕事に惹かれるならレコード会社、アーティストの活動全体を近くで支えたいなら事務所が合いやすいでしょう。迷う場合は、両方の説明会に参加してみてください。話を聞くと、自分がどちらの仕事に心が動くのかが見えてきます。
外資系のレコード会社は英語が必須ですか?
会社と職種によって違います。洋楽を扱う部署では英語を使う場面があると考えられますが、新卒の要項にどう書かれているかは年度ごとに確かめてください。
まとめ:一覧は「調べ始める地図」として使う
レコード会社の一覧は、社名を覚えるためのものではありません。グループ別に見ると、外資系、国内の独立系、ほかの事業グループに属する会社など、それぞれの立ち位置が見えてきます。
最初の一歩として、普段よく聴く曲を10曲選び、発売元の会社名を書き出してみてください。そこに、この記事の一覧から気になる会社を足して、5つのメモで採用の形を整理します。空欄になった項目が、次に調べることです。