結論から言うと、ラジオの放送局や番組制作会社には、新卒採用の例があります。ただ、ラジオ局や制作会社に入社できても、番組制作の担当になれるとは限りません。局にも制作会社にも、総合職として採用し、入社後に配属を決める募集があるからです。
そこで、応募前に次の3点を確かめておくと、応募先を選びやすくなります。
- 雇用主は誰か:放送局本体か、グループ会社か、番組制作会社か
- 職種限定か総合職か:制作職として採用されるのか、入社後に配属が決まるのか
- 制作への初期配属の条件:新入社員を番組制作に配属しない、と書かれていないか
この記事は、ラジオ番組を聴くのが好きで、作る側の仕事を探している学生向けに書いています。「局員と制作会社の社員、どちらを目指せばいいのか」「ミキサーや放送作家も同じ採用なのか」と迷っている人を想定しました。アナウンサー試験や、個人のPodcastの始め方は扱いません。
公式ページの内容は、2026年10月17日に確認したものです。募集は年度ごとに更新されるため、応募前にリンク先で最新の掲載を読み直してください。
この記事の要点は3つです。新卒採用の例はある。ただし局でも制作会社でも、制作への配属が募集要項で約束されているとは限らない。希望の工程と、採用職種・配属の書き方を照らし合わせて応募先を選ぶ。
新卒採用の例から、配属と応募条件を読む
ここで取り上げるのは、公式ページで条件を確認できた4社の例です。人気順や入りやすさの順位ではありません。また、次の表は「いま受付中の募集一覧」ではありません。受付が終わったものも含め、配属や条件の読み方の例として並べています。
| 会社 | 区分 | 採用職種と制作への配属 | 雇用 | 受付の状態 |
|---|---|---|---|---|
| ニッポン放送 | 放送局 | 制作以外の担当も多く、希望部署への配属は約束しないとFAQで説明 | 28卒総合職の条件は公開ページで読めず未確認 | 28年度の案内あり。本選考の受付状態は未確認 |
| MBSラジオ | 放送局 | 27年度は総合職。制作のほか編成・営業・イベントなど | 正社員 | 27年度は終了。28年度は募集開始後に更新の案内 |
| サウンズネクスト | 番組制作会社 | 27卒は総合職。制作・技術・営業企画・音楽出版・総務などに配属。職種限定採用ではない | 入社後に契約社員としての試用期間(原則6か月)があり、正社員登用の説明あり | 7月の選考は終了。追加募集はエントリー者に案内 |
| TBS GLOWDIA | グループ会社 | 27卒総合職。新入社員はラジオ番組制作に配属しないと明記 | 正社員・無期雇用(試用6か月) | 受付の状態は未確認 |
表の真ん中の列を見てください。局でも制作会社でも、制作専任で採用すると書いた例は、今回の確認範囲にはありませんでした。順に補足します。
ニッポン放送:制作配属と、職種の所属に注意
ニッポン放送の採用FAQでは、制作以外の仕事を担当する社員も多く、希望部署への配属は約束しないと説明されています。さらに、放送作家やミキサーは同社の募集職種ではなく、スタジオでの音のミキシングは制作会社のスタッフが担当している、とも書かれています。
これは同社の例で、すべてのラジオ局が同じ分担というわけではありません。それでも、「ラジオ局に入ればミキサーになれる」とは限らないことが分かる、大事な情報です。
仕事紹介のページには、編成、報道、営業、イベント、技術、デジタルなどの仕事が並んでいます。ここでいう技術は、放送設備やシステム、伝送回線の整備も含む仕事で、スタジオで音を混ぜる仕事と同じではありません。
注意:FAQに書かれている卒業条件は、確認時点では27卒向けの内容でした。28卒の総合職の条件は、公開ページの範囲では読み取れなかったため、この記事では書いていません。採用トップから最新の要項を確かめてください。
MBSラジオ:27年度は終了、28年度は次の告知待ち
MBSラジオの入社募集要項では、27年度新卒は正社員の総合職で、仕事には制作のほか、編成・営業・イベントなどが含まれていました。対象は1998年4月2日以降生まれで、2027年3月末までに4年制大学を卒業、または大学院を修了する人(見込みを含む)です。
27年度の募集は終了と明記され、28年度は募集開始後にページを更新すると案内されています。年齢や卒業の条件は27年度のものなので、28年度にそのまま当てはめないでください。また、同じページにあるキャリア採用の技術職は、新卒の枠とは別です。
サウンズネクスト:制作会社でも職種限定ではない
サウンズネクストの事業紹介では、複数の局のラジオ番組やコンテンツの制作を手がけていることが分かります。放送技術や録音スタジオなどは、別の部門として紹介されています。
同社がマイナビ2027に掲載している採用データでは、27卒は総合職と総合職契約社員の募集で、配属先は制作、技術、営業企画、音楽出版、総務などです。そして、職種を限定した採用ではないと明記されています。番組制作会社に入っても、制作の担当になるとは限らないということです。
雇用にも確認したい点があります。総合職で採用されても、入社後は契約社員としての試用期間(原則6か月)があり、所定の基準や役員面接などを経て正社員に登用されると説明されています。過去に登用された実績があっても、今後の登用が無条件に約束されるわけではありません。
対象は大学の学部生と大学院生(全学部・学科)でした。専門学校からの過去の採用実績も載っていますが、それは今の募集の対象とは別の情報です。受付については、7月29日更新の掲載で、7月の選考は終了し、追加募集があればエントリーした人に案内すると書かれていました。
TBS GLOWDIA:ラジオ事業があっても、新卒の配属先とは限らない
TBS GLOWDIAの27卒総合職の募集要項は、正社員・無期雇用で、試用期間は6か月です。ところが、新入社員をラジオ番組制作に配属することはないと明記されています。
会社の事業にラジオがあることと、新卒でその仕事に就けることは別です。この例は、事業紹介だけで応募先を決めないための、分かりやすい手がかりになります。
ラジオ番組を作る仕事はどこにある?
ここまで読んで、「では、ラジオの番組を作りたい人はどこを受ければいいのか」と思ったかもしれません。まずは、担当したい仕事から逆算してみましょう。次の区分は整理のためのもので、業界で統一された分担表ではありません。
| 担当したい仕事 | 求人で探すときの手がかり |
|---|---|
| 企画・構成、収録や生放送の進行 | 局の総合職(制作への配属は約束されない)、番組制作会社の総合職・制作職 |
| 音声のミキシング・編集 | 制作会社や技術会社の技術系の募集。局の「技術」とは中身が違うことがある |
| 放送設備・送出 | 局やグループ会社の技術職 |
| 放送作家・出演 | 局員の採用とは別の入口。局の募集職種に含まれないことがある |
迷ったら、具体的な会社の業務説明に戻って確かめるのが確実です。テレビ局の採用や将来性を広く知りたい人は、テレビ局への就職をまとめた記事も参考になります。
応募先を決める6項目
気になる会社を2〜3社選んだら、公式ページから次の6項目をメモに写してみてください。
- 雇用主:局本体、グループ会社、制作会社のどこか
- 実績:その会社が、希望する音声番組や工程を手がけているか
- 採用区分:職種別か総合職か。初期配属に制約はあるか
- 対象:学校種、卒業年月、既卒や就業経験の条件が自分に合うか
- 雇用:雇用区分、試用期間中の区分、登用の条件、勤務やシフト
- 受付の段階:エントリー、説明会、本選考、追加募集のどれを受け付けているか
空欄になった項目が、次に確認することです。説明会や仕事体験の案内が出ていても、本選考の受付とは別なので、段階を分けて読みましょう。
放送局を探す入口としては、MINPO.WORKが使えます。新卒・中途・インターン・説明会を、テレビ/ラジオや地域で絞り込める、放送局側の情報サイトです。番組制作会社の採用は、それぞれの会社の公式ページや掲載先で確かめてください。
学生のうちに整理できること
準備の出発点は、高額な講座ではありません。今の自分にできることから始めてみましょう。
好きな番組を1本、作り手の目で聴く
好きな番組を1本選び、放送日時、コーナーの流れ、音楽やジングルの入り方、進行の切り替わりをメモしてみてください。そのうえで、「自分はこのどの部分を作る仕事がしたいのか」を言葉にします。番組の制作会社は、公開されているクレジットや会社の制作実績で確かめられます。担当者の個人的な連絡先を探す必要はありません。
自分の経験を、役割で整理する
放送部や学園祭、サークルなどで何かを作った経験があれば、自分の役割、期限、確認したこと、改善したことを整理しておきましょう。経験がなくても、それだけで不利と決まるわけではありません。
練習で音声を作る場合は、自分で収録した音や、使用が許された素材を使ってください。既存の番組や音楽を無断で切り貼りしたものを、応募の実績として出すのは避けましょう。
迷ったら、公式・学校・就活相談を使い分ける
応募の中心は、各社の公式採用ページです。年度、条件、締切が書かれているのは公式なので、求人サイトで見つけた募集も、公式の要項で読み直してください。学校のキャリアセンターでは、先輩の進路資料や求人票を扱っている場合があります。あるかどうかは学校によるので、窓口で確かめてみてください。
そのうえで、「ラジオ以外の業界も含めて、自分に合う仕事を整理したい」という人は、新卒向けの就活相談を使う手もあります。ただし、ラジオ局や番組制作会社の求人を紹介してもらえるかどうかは、私は確認できていません。推薦や内定、担当番組や配属が約束されるわけでもありません。対象となる卒業年度や学校種も含めて、就活相談を使う前の対象と注意点を読んでから判断してください。
相談の予定があるからといって、公式募集の締切を後回しにしないでください。
よくある質問
新卒で探しているのに、経験者向けの求人ばかり出てきます
求人サイトで「ラジオ制作」と探すと、ラジオディレクターの経験者募集や、テレビ・アニメなど別の制作の求人が混ざって表示されることがあります。気になる会社が見つかったら、公式の採用ページで「新卒」の区分と対象の卒業年度を確かめてください。
ラジオ局の総合職に入れば、制作に配属されますか?
約束はされません。ニッポン放送は希望部署への配属を約束しないと説明し、MBSラジオの総合職も制作のほか編成・営業・イベントなどを含みます。制作に配属される可能性はありますが、確約ではない前提で応募先を選びましょう。
専門学校生も応募できますか?
年度と会社によります。今回確認した局や制作会社の総合職には、4年制大学・大学院を対象とする例が見られました。過去に専門学校からの採用実績がある会社でも、今の募集の対象かどうかは別なので、最新の要項で確かめてください。
放送作家やミキサーも、局の新卒採用で目指せますか?
局によっては、募集職種に含まれません。ニッポン放送は、放送作家やミキサーは同社の募集職種ではないと説明しています。目指したい仕事が決まっている人は、その仕事がどの会社のどの採用区分に入っているかを先に確かめてください。有料の養成講座や業務委託として関わる道もありますが、新卒で雇用される採用とは仕組みが違います。
英語や資格は必要ですか?
今回確認した新卒の要項では、語学の点数などを一律に求める条件は見当たりませんでした。ただし、職種や年度で変わる可能性があるので、「不要」とは言い切れません。志望先の要項で確かめてください。
28卒は、27卒の締切を参考にしていいですか?
仕事内容や選考の流れを知る資料としては役立ちます。ただし、日程や対象の条件を28卒にそのまま当てはめないでください。
まとめ:希望の工程と雇用主を確かめてから応募する
ラジオの仕事には、新卒で入る道があります。ただ、局でも制作会社でも、入社がそのまま番組制作の担当につながるとは限りません。
最初の一歩として、作りたい番組の工程を1つ決めてみてください。そのうえで、候補の会社を2〜3社選び、6項目のメモで「雇用主・採用区分・配属の書き方」を確かめます。空欄になった項目が、次に確認することです。